放射線改質 Improvement/Degradation
なぜ放射線で改質や加工ができるか?
プラスチックなどの高分子材料に放射線を照射すると、放射線が通り抜けた近傍の分子に励起や電離が起こり、反応性の高い活性種(ラジカル)が生じます。この活性種の反応によって、高分子鎖の切断(放射線分解)が起こったり、高分子鎖同士を橋掛け状に結合する反応(放射線架橋)が起こります。また活性種と反応性の高い別の化合物を高分子に混ぜておくと、元の高分子鎖に新しく枝を付ける(放射線グラフト重合)ことができます。
具体的にどんな改質や加工があるか?
フッ素樹脂のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は、放射線で分解してミクロンサイズの粒子状にしたものが、インクなどの潤滑剤として使われています。ラジアルタイヤや耐熱性電線や発泡プラスチックなどは放射線架橋を利用して作られています。グラフト重合を利用するとプラスチックにいろいろな機能を付与することができるので、ポリエチレンに導電性を与えたものが電池用隔膜などに使われますし、イオン交換能を付与して純水製造用フィルターや脱臭フィルターなどが作られています。また、半導体などでは、特性を向上させるために電子線や中性子線を照射しています。